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発起人メッセージ・プロジェクト概要資料

第49回『IF I AM』(4/5)

更新日:2012年04月13日

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フリーランスで、コミュニケーションデザインや企画をしている鈴木高祥と申します。
今回はゲストライターとして、『IF I AM』のUstream配信内容をレポートさせていただきます。
本当は、都内で行われた現場に伺いたかったのですが、行けなくて残念!

第49回『IF I AM』の録画はこちら

番組内容

  1. 気仙沼プロジェクトの活動インタビュー
  2. 慶応義塾大学『テティック』活動インタビュー
  3. アフタートーク

出演者

  • MC
    三神 志織さん(東北学院大学2年 )・高橋俊介さん(東北学院大学3年)
  • ゲスト
    ・気仙沼復興プロジェクト
     清水 健佑さん(慶應義塾大学3年)・矢ヶ崎 太洋さん(慶應義塾大学3年)
    ・教育支援団体TEDIC
     門馬優さん(早稲田大学 大学院)

気仙沼復興プロジェクト

継続的に、各自が現地で感じた課題を見つけてそれに取り組む。
そういった活動が気仙沼復興プロジェクト。
ボランティア団体の支援ではなく慶應義塾大学の慶応藤沢キャンパス(略してSFC)が取り組む学生と教員とのプロジェクトだ。
どちらかというと復興の提案など、計画的に動いてその地域に何が必要かを考えて活動をしている。

気仙沼復興プロジェクトの始まりは、SFCの研究会から。
一ノ瀬友博氏(環境情報学部准教授)から声が掛かりプロジェクトの計画がはじまったそうだ。
イマドキっぽく、ツイッターを利用し仲間集めからスタートする。

ここでこの気仙沼復興プロジェクトの素晴らしいところだなと思ったのは、
「教授と学生という立場の意識ではなく、問題に共に取り組む『仲間』として活動をする」という考え方だ。たいていの大学だとゼミなら教授がいて生徒がいて、課題が与えられてそれに取り組むという姿勢が多いはず(僕もそうだった)。
大学の取り組みとしてではなく、各個人が震災に対して一人の人として向き合う取り組みとしてはじめ、それを学生が理解して、考え行動していることが他にはない活動だと思う。

『目的に向けて一致団結ではなく、気付いた点からフラットに問題解決をする』と姿勢も面白い。
誰がやるのか、という問題になったとき、それに気付いた人が行う。
全体の目的として成し遂げるというより地域の問題を、個人・参加者が見つけてアプローチをしかける。『問題発見&参加解決型』という仕組みだ。
もしかしたら、最初は自分達に何ができるかをものすごく考えて現地に入ったのかもしれない。
しかし、現状を目の当たりにし、それぞれが思うこと、それぞれができることが物凄くたくさんあって、自分なりに感じたささいなことを各自がその場でまとめていけなかったのだろう。
誰がやるの?いつやるの?という問題に直面したのかもしれない。
おのずと気付いた人からすぐ行動に移していくことで
現地のニーズや動きに対応することができ、自らの課題は現地で見つけてそれに取り組んでいく、というスタイルになったのだ。

震災から1年。
「現地での課題やニーズが代わり、僕らも対応しなくてはいけない」という言葉に逞しさと心強さを感じた。
関わる学生の視点で、自分達だからできることを是非実践していってほしい。

具体的な活動として高台移転の話が上がった。
新しく高台移転を提案することではなく、
「その地域で震災前にどんな暮らしをしていたのか、そして震災後にどんなコミュニティになって、どんな暮らしになったのか、価値感が変わったのか」を長期的に記録する活動だそうだ。

そこに住民の文化やネットワークの再構築に役に立つだろう。
なぜならそれは、コミュニティの円滑化につながるからだ。過去のやり方やどんな人がいたのかはとても大事な情報。
住民の話を聞いてあげることで、記録になり活動履歴となる。それが地域の活性化につながる。続いている活動のひとつなのだ。

支援の形は色々在るが、「話を聞く」支援を体系化しているようにも思える。

この活動をはじめたきっかけは、緊急対応と震災の復興支援になるとき、最初と最後の報告はきっちりされているがその経過報告が充分でないことに疑問を感じたからだそうだ。
その地域で震災時どのような合意形成があってどんな判断がされたのか。また、どんな文化があったのかを知ることで話し合いや会議の仕方も知ることができる。
「報告書では見えない部分を学生の視点で追いたい」と語ってくれた。

気仙沼という地域にも、様々な集落があって、被害の大きさも異なるところもある。
地域をひとくくりにしてしまうと、解決できない問題が浮上する。
だからこそ、解決したい問題は、答えや思考を無理やり一つにするわけでなく、
各個人で課題を解決してくことを大切にしているのだ。

現地を訪れ分析するフィールドワークで、大学としても参加する一人のメンバーとしても長期的に活動を続けていって欲しい。

子どもたちの教育支援『TEDIC』

震災が起こる2ヶ月前の2011年1月。
石巻市出身の門馬さんは、実家で家族との記念写真を撮っていた。
弟、妹、両親、祖父母のお正月らしいアットホームな写真だ。
しかし、その2ヵ月後震災が起こる。

4月に自宅に戻ることができ、流されてぐちゃぐちゃになった自宅の写真を門馬さんは改めて撮る。
そして、石巻市の自宅に戻り何かできないかと色々な場所をまわった。
すると、子どもたちがいる家庭が大変だということに地元のお母さん達と話すことで気付いた。

新学期が始まらないが、子どもにはちょっとでも勉強させたい。
また、子どもを置いて、外に出かけたくても余震が続く。
門馬さんが教員を目指しているということもあり、子どもたちや親御さんを支援できないかと考えた。
そしてこどもを預かって勉強を教えてあげる教育支援団体「TEDIC」を2011年5月にたちあげた。

最初の3ヶ月は友人を始め17人。まずは東京でスタートさせた。
教員になる人しかいなかったので声をかけやすかったと語る。

『こどもから学んだことはめちゃくちゃありますよ。教育って何かって考えました。』
活動は子どもたちに勉強を教えることだったが、教員を目指す彼らが学んだことがある。
印象的だった例を挙げてくれた。
ぱっと見、見た目が派手なモヒカン、ピアスの子たちも避難所を率先して切り盛りしていたのだ。
「普段は授業へは不真面目だけど、万が一のときは思いやりを持って積極的に動いている」ということも先生から教えてもらう。

学校は勉強するところであるが、教わってきた勉強ができることが良い子ということに当てはまらない。
自分は教員としてどう子どもたちと関わっていくかを考えるきっかけになったという。

過酷な状況の中で、子どもの強さを知った。言葉にできないことも多かった。
その思いは毎週の活動自体で代弁している。

門馬さんが語る中で、印象的だった言葉がある。
「前は、被災地の子どもたちとしてみていたが、いまは、そのレッテルをはがし一人の人間としてみることができている。それは教育支援を現地でしている経験があるから」。

支援をするということは、被災地のためでなく
目の前にいる人のために何ができるかどうか。同じ視点に立てるかなのかもしれない。

有事のときに行動を起せるかどうかは、子どもだけでなく私たち大人にも当てはまることだ。
そのための学びというのは、やはり誰にでも必要なこと。
教える・教わるは表裏一体。教えることで教わることにもなる。
震災支援でTEDICに関わる教師の卵たちは、未来の日本の教師を支える存在になるだろう。

最後に、TEDICを通じて学ぶことがある。
今回の震災で教育支援が必要だという見え方になっているが、震災後だから必要というのではない。
震災前から不登校やひきこもりなどがあったケースが多かったのだ。
これは被災地に限ったことではない。震災とは別問題で考えなくては問題だ。
教育支援に関しては、被災地に来ることも一つ。
「今回の震災の気付きを自分の地域、自分の周りのことに置き換えて考えて欲しい」と門馬さんは最後に語った。

自分ができること、それを継続していくことが復興支援の形であると改めて感じた1時間だった。

■笑顔311の東京研修合宿

普段は仙台から配信している『IF I AM』だが、この日はメンバーである学生たちが番組作りの研修のために東京に来ていたため、東京からの配信となった。

「何を学びたいのかから考えて、10分番組に落とし込んで学ぶ」という研修を振り返り、いい経験だったと語るMCの2人。

『IF I AM』が始まって1年。あらためて1年を振り返る機会になったようだ。
何をしたいのか、理念を考えた研修は彼らにとってかけがえのない時間だったのだろう。

学生による番組での、復興の姿を伝える姿勢。
若者が活動をおこなって、同じ若者に対して何か届けたい。
社会問題に関心を高めたい。
東北にきてほしい。
大人の方には元気を伝えたい。

彼らの想いを是非、番組を通じて発信してもらいたい。

4月14日15日は24時間放送を行う。
復興系ガールのコーナーがあるそうだ。
(配信URLはこちら。24時間のタイムテーブルもあります>>Ustream『IF I AM』)

第49回『IF I AM』配信時の皆さんのつぶやき

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